【読書のススメ】急用なき冬の日をのりきれますか?そうだ!ちょっと先に本を買おう。

自販機のコーンポタージュがコーンだけ缶の底に張り付く季節がまたやってきました。

皆様いかがお過ごしでしょうか?寒さに年末を感じているKaien秋葉原サテライト訓練生です。

 今回は本記事の担当をさせていただけるという事で、弊社の在庫から気になっていた本をピックアップ!その魅力を伝えられればと思います。

〈本の紹介〉

「ドリアン・グレイの画像 (岩波文庫)」(ワイルド (著), 西村 孝次 (翻訳))

美貌の青年ドリアンが人知れず罪を犯してもどった夜、彼の肖像画は奇怪にも口許に残忍な微笑を浮べていた。快楽にふけり醜さを加えてゆく彼の魂そのままに、肖像は次第に醜悪になってゆく。―美貌と若さを保ちつづける肉体の恐ろしい姿に変貌する魂との対比を主題に、ワイルド(1854‐1900)がその人生観・芸術観・道徳観をもりこんだ代表作。

(「BOOK」データベースより)

〈『ドリアン・グレイの画像』感想〉

「もし、ずっと年を取らず若者の特権を享受できるなら、あなたは何をしますか?」

本作はその願いが叶った事で転落していく人物を描いた、少し恐ろしく奇妙な寓話だと思います。

 原作が出版された当時、一躍話題になったとあります。

きっと困難な時代に生きる人間の無視できない感情を揺さぶるほど、リアリティある「おとぎ話」に落とし込んだから独自の視点があったからでしょう。

 本作はまず文体が素敵です。しかしながら怖い話が苦手な方にはおススメできません。

なぜなら貴族たちの教養ある会話からロンドンの不況に包まれた空気感まで、情景や人物のしぐさの雰囲気までもが伝わってくる表現力にサスペンス要素があるからです。

 あなたの恐怖心が好奇心という強い欲望へ変化し、静かに膨れ上がるのを待ちましょう。

 また特徴としてタイトルの人物、ドリアン・グレイは他者視点で視覚化された人物像を中心に描写されているのです。

 おそらく作品に登場する重要な小道具ドリアンの肖像画と同じく、本作もまた彼の「絵」であり「画像=ピクチャー」として文字だからこそ想像させるリアリティがあります。

 そうして読み手のボンヤリとした焦点が収束した時、恐ろしい運命に翻弄されたドリアンの面影が脳裏に浮かび上がってくるような気がしませんか?

  きっとそれゆえにこの作品のタイトルは「ドリアン・グレイの実像」ではないのです。

 そして登場人物の中でも最初に登場する人物たちに魅力を感じました。

ストイックで浮世離れした芸術家バジルと社交的だがどこか乾いたユーモアの持ち主へンリー卿です

 物語はこの思索的で処世術の異なる2人にドリアンが偶然出会い、共鳴する所から始まるのですが、この2人の会話がとても面白いですし、物語の中では示唆的な気もしています。

そして画家バジルが友人ドリアンのために描いた肖像画も物語の象徴的な小道具になりますし、画家バジルの友人ヘンリー卿は、童話「裸の王様」の子どものような視点を持っていますが読み手も巻き込んで言葉巧みに状況を解説する狂言回し的な要素があります。

 またそもそもドリアンの転落的運命が加速したのは、必然か偶然かなど考察の余地がある作品です。

 本作はかつて「世紀末」と呼ばれた19世紀末ごろの作品で、経済的に豊かだったイギリスの時代が翳り、人々の暮らしがこれまでと変わってしまった時代を描いています。

 現代でも「今の時代は大変だ、昔はよかった。」という声が聞こえてくるのは、急速な変化の時代に突入しているからでしょうか。

 歴史の結末を知る後世という意味で19世紀末からすれば未来となる21世紀。

令和元年もあと僅かですが、現代人の進化した生活と比較するなど、リラックスして自分のペースで読書する時間もまた一興です。

 もしあなたが時代の変化を感じて昔話に耳を傾けているとしたら、再び時を超えてあなたの中に眠っている生命力に火を灯したとしても不思議ではないかもしれません。

 物語は作者オスカー・ワイルドが語るとても熱く、とても短い「序章」から始まります。

19世紀末を強く生きたであろう作者の声が今も失われず活字に残っており、その生命力溢れた繊細で熱い渾身の「序章」は必見です。

 もし、あなたが既に本書の「序章」を楽しんでいるのなら、きっと今は最後の章を読んでいる頃かもしれません。

…いかがでしょうか?最後まで読んでいただきありがとうございます。

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