DenPukuは、ニューロダイバーシティ社会の実現を目指す株式会社Kaienにより運営されています。
多様な特性が生み出す「こだわり」を活かしながら、日々とりくむモノづくり。

DenPukuとは発達障害の「手先の器用さ」「集中力の高さ」といった特性を、伝統工芸のモノづくりに生かす取り組みです。

現在は箸の漆塗りの作業を行い、完成した箸を販売しています。
また、箸の塗装や包装などは訓練生が行っています。

『特徴』

  • 同じ漆でも表情の違う、「一点もの」
  • 茶色だけでない様々な色の「バリエーション」
  • 各自のこだわりの生きた「工夫」

『箸ができるまで』

  1. 加工済みの箸を仕入れる
  2. 上部の角を削り丸くして漆がはがれないようにする(全体をやすりで削る調整も行う)
  3. 漆を塗る
  4. 乾かす
  5. 「3~4」を四度繰り返す
  6. 四度塗りされ、綺麗になっていれば完成

コラム1『漆の塗り方「拭き漆」』

「漆を塗る」と『橋ができるまで』では書いたのですが、塗り方も様々あり、現在のDenPukuでは「拭き漆」という技法を採用しています。

拭き漆とは、漆を薄く何度も(kaien推奨は4回)塗り重ねることで、木目を生かして仕上げることができる技法です。

この技法は、単純に漆を塗り重ねるだけなので、かなり手軽に行うことができます。(ですが極めると難しいという話はコラム2にて)

また、木に漆を塗って乾かすを繰り返すだけなので、特別な工房ではなく、道具と漆を扱う知識さえあればkaienの事業所(普通の部屋)でも簡単に行うことができるのです。


コラム2『漆塗りは楽じゃない!』

『箸ができるまで』では省略しましたが、肝心要の漆を塗る作業がとても大変。

ポイント1 漆の種類で最適解が変わる

漆には二種類あり、「生漆」と「色漆」(詳細は後述)
通常の拭き漆では生漆を使うのですが、kaienでは色漆も使っています。

このどちらを使うかでも表情や薄め方が変わります。それぞれの使い方に慣れるまでが一苦労!

ポイント2 生漆は奥が深すぎる

生漆とは、生の漆に一番近い状態の「漆本来の色」であり、一番加工しやすい漆です。

漆は薄く塗って塗り重ねるのが基本なのですが、その漆の濃さで表情がまるで変わります。

濃く塗ればこげ茶色、薄く塗れば黄土色になります。

濃く塗るやり方はムラになりやすく管理が難しいのですが、丈夫になりやすいです。
薄く塗ればムラはほぼ出ませんし、上手く行けば金色に近くなります。しかし、耐久性に難があり、金色を目指すと普通の1.5倍の手間がかかります

どちらも一長一短となり、どちらを極めるかでも個性が出ます。

ポイント3 色漆は曲者

色漆とは漆に顔料を混ぜたものなのですが、筆者は色漆に良い思い出がありません。

ムラになるわ、剥げるわ、くっつくわ、濃すぎるわ……
とにかく扱いが大変です。

ある程度の濃さを残そうとすると厚塗りになり、管理が大変。

薄くすると返ってムラになりやすい。
はたまた生漆と併用しようにもなかなかうまくいかない…
とかなり曲者です。

しかし、丁寧に作ることができれば、生漆にはない美しさと表現が生まれるため、色漆へ挑戦する価値はあるでしょう。


いかがでしたでしょうか。

箸に漆を塗るだけなら容易に出来ますが、それを綺麗に仕上げようとすれば研究が必須となります。

その果てにある美しい箸で是非、食卓を彩ってみてはいかがでしょうか。

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