就活体験記 経歴に惑わされずに「興味」「得意」を分解する ~後編~
3章 就活の進め方
就活は3ヶ月目から始まりました。
当初はフルタイムでのデザイナー職を探していたのですが、難航した経緯を紹介します。
書類対策
文章を書くのは趣味の文芸同人活動で鍛えられていたので得意です。
応募書類の志望動機・自己PR・障害特性・職務経歴を、バァーと書いては支援員の方々に添削していただきました。
面接対策
今まで数十社の面接に落ちてきましたが、理由がわからず改善のしようがありませんでした。支援員の方々と面接練習をすることで、話すスピードが早すぎるところを意識できました。緊張しながらもアドリブにも対応できるようになってきました。
想定問答集をGoogleスプレッドシートにまとめるだけでなく、メモ帳にシャーペンで書いて覚えました。学生時代に英語教師に「君は書いて覚えるタイプなんだね」と英語で指摘された経験があるからです。覚えたい言葉は真っ白なページを黒染めするように書いて覚えるようにしています。
応募企業数
内定をいただいた10ヶ月目までに、応募した企業数は37社です。Kaienのある事業所の通所者は平均7.5社応募すれば内定のようなので、かなり遠回りでした(ソースはこちら)。
一般雇用のデザイン職:5社
Kaienが運営するマイナーリーグ
障害者雇用の転職エージェント(計3社):31社(7社が書類通過)
志望動機を作り込んだ企業は14社だけです。エージェントからの応募は数打てば当たる戦法で、志望動機は面接に進んでから考えていたため、7社しか志望動機は考えていません。私の書類通過率は22%になるため、10%と言われている相場よりは良かったようです。まだ20代で空白期間がないからですかね。
反対に不安要素としてあがったのは、「前職がフルリモートで毎日出社できるか不安」でした。高大7年間で片道90分通学をしていた身としては、面接官の質問不足でしかないと思います。前職でリモートワークしていた人は積極的に体力があるアピールもしておいたほうが良さそうです。
応募作戦の遷移
就活は7ヶ月間していました。
3か月目 デザイン職に就きたい
最初の3ヶ月間は一般雇用でも障害者雇用でもデザイン職に応募していました。まだまだデザイン職の障害者雇用は少ないため、一般雇用多めで受けました。一般雇用にクローズ(障害特性があると明かさないで就活すること)は考えませんでした。長く働ける職場を探しているため、一般雇用の応募でも「障害があります」「月に1回の通院があります」と明記していました。すべて書類選考で落ちました。
6ヶ月目 事務職に切り替える
応募できるデザイン職の求人がなくなってしまい、エージェントにお任せして事務職も受けてみることにしました。
高校からデザイン人間だったため、最初は面接官を納得させる志望動機が思い浮かびませんでした。しかし、Kaienでの訓練によって「見やすく情報整理する能力」は事務作業でも役に立っていることに気づきました。
他にも事務職を選んだ理由は2点あります。
①趣味の文芸同人活動が充実しすぎている
製本・SNSの運営・POP制作・リリックビデオ制作などデザインは自分で勝手にしていました。趣味でデザインしたものを通じて様々な年代の方々と交流し、仕事では事務で趣味のためにお金を稼ぐのが理想の生活かもしれないと思うようになりました。
②職業のデザイナーとしての欠点
デザイン業務の実習も経験し、私の特性である「頭の回転の遅さ」がデザイナーとして交渉するときのコミュニケーションに影響を与えてしまっているとわかりました。自分で何を作るか決めてデザインすることはできますが、誰かの要望を咀嚼する時間がかかりすぎるところが職業のデザイナーには向いていませんでした。前職でもそのようなトラブルはよくありましたので納得しています。
4章 内定とこれからのキャリアプラン
内定
Kaienに通所してから37社の内、1社から内定を頂きました。
障害者でなくとも難しい有名ブランドのデザイン職求人に応募したこともありました。今の自分より格上の企業にも応募したことを後悔はしていません。志望動機を書くだけでも自己分析に繋がり、意外なところで他社の選考に役立ちました。
たいていは選考に落ちた理由は分かりませんが、たまに理由を伺えるときがあります。客観的な意見はとても貴重です。いただけたときは、素直に修正しましょう。確実に内定に近づけます。
内定を頂いた最終面接ごろの「キャリアへの志向性」は以下の画像のようになっていました。
これからの目標
①無理をせずに働く
最終面接では、社長から「遠慮はしなくていいから、しんどいことがあったら言ってください。」と心遣いのお言葉をいただきました。まずは時間通りに通勤し、仕事を覚えることを大事にします。他の障害者雇用の方々とも協調してそれぞれの特性に配慮できるひとにもなりたいです。
②資格を取得する
資格取得を援助する制度があるようなので、「ITパスポート」「基本情報技術者」などの資格に挑戦する予定です。職場の他の障害のある方のためにも「ユニバーサルマナー検定」にも挑戦したいです。
③障害者雇用でもデザイン業務を担えると証明する
ポートフォリオも提出していたため、その職場で障害者雇用の人で初めてデザイン業務も任せていただけることになりました。事務スキルを高めた上で、デザインに挑戦したい他の障害者のためにも成功事例になりたいです。
④文芸同人活動を継続する
イベントに参加すれば、まれに幼児が「帰りたい帰りたい」と暴れ回っているブースと隣りあわせになります。反対に、風呂敷から静かに歌集を並べ始めるお婆さんともお話をします。これからも、作品を通じて幅広い立場の方々と交流し続けたいです。イベントに参加するためにはお金と体力が必要なので、仕事での体力と趣味での体力をどちらかに偏りすぎないようにします。
⑤家族でスペイン旅行に行く
私の家族は全員海外旅行の経験はありますが、家族で行ったことはありません。両親の足腰が丈夫なうちに、スペイン旅行に行くためのお金を貯めます。なぜスペインかというと、スペイン料理が美味いからです。バックパッカーのブログでも、ヨーロッパ部門のランキングではよく上位にあります。個人的にはUAE・モロッコ・インドに興味がありますが、両親の年を考えればまずはスペイン旅行に行きたいです。
就活体験記はいかがだったでしょうか。
私の知見が少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みくださって、ありがとうございました。